これで安心!自分で高精度太陽光発電シミュレーション

みなさん太陽光を買う時に太陽光会社にもらうシミュレーションをそのまま信じていませんか?

それって危険ですよ!

太陽光のシミュレーションにはルールがありません。

1+1=2

5+3=8

上記のような計算は明確な決まりがあるのでみんな同じ答えになります。

しかし太陽光のシミュレーションにはこのような共通のルールがありません。

具体的には、A社は利回り10%、B社は利回り12%の太陽光を販売していたとします。

シミュレーションに共通のルールが存在して同一条件で比較がされているのであれば当然B社から購入すべきです。

しかし会社によってシミュレーション方法が異なるため実発電量を確認してみたらA社は利回り11%、B社は利回り9%だったということがあり得ます。

あり得るというより頻繁に見受けられます。

まぁ販売側の心理としてはできる限り利益を得たいわけです。

そのため高めのシミュレーションを作って少しでも高く売りたいということでしょう。

ゆとリーマンのイメージでは高いシミュレーションと低いシミュレーションを作る会社ではシミュレーション値は最大30%くらい違う気がします。

優良案件を見極められるようになるためにはある程度のシミュレーション知識が必要です。

今回は自分で太陽光シミュレーションを行う方法を何通りか紹介します。

紹介シミュレーション一覧

方位・傾斜角考慮 月ごとの損失係数考慮 ピークカット考慮
A.超簡易!年間発電シミュレーション    ×    ×    ×
B.月別発電シミュレーション    〇    〇    ×
C.詳細設定可能!月別発電シミュレーション    〇    〇    〇

AよりもB、BよりもCの方が詳細設定が可能で色々な状況を考慮できます。

どのシミュレーションが当たるの?と思われる方が大多数だと思いますが結論から言うと分かりません。

すみません。

理由はシミュレーションと実発電量の差異原因で最も大きいのは天候(日照時間)だからです。

個人的には一番最後が最も色々考慮できて良いと思いますが最初のものでも十分だと思います。

個人の用途によって使い分けてみてください。

A.超簡易!年間発電シミュレーション

経産省が公表しているパネル1kWの年間発電量平均はおおよそ1,100kWhです。

この数値をそのまま使います!

簡単でしょ?w

具体的には50kWの太陽光設備の年間発電量を考える場合は

55,000kWh(1,100kWh/kW×50kW)です。

このように『1,100kWh/kW×システム容量(kW)』で年間発電量を簡易的に計算可能です。

この数値は経産省が出している数値なので信頼度はかなり高いです。

ゆとリーマンもおおよその検討には十分使えるレベルだと思います。

以下に都道府県別の1kWの年間発電量を示します。

太陽光投資を考えている場所が平均に対して高いのか?低いのか?くらいは把握しておくと良いと思います。

都道府県別の1kWの年間発電量で計算してみても良いと思います。

経済産業省資源エネルギー庁 参考ページ

https://greenpow.co.jp/img/page/pdf/guideline_meti.pdf#search=%27%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%E7%99%BA%E9%9B%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B+%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%27

B.月別発電シミュレーション

A.超簡易!年間発電シミュレーションで紹介したものと比較すると今回の方法は

・パネルの設置方位

・パネルの設置傾斜角

の考慮が可能です。

以下はさいたま市の設置方位0°(南)・設置傾斜角30°を基準とした各方向・角度の発電効率です。

縦軸が設置方位、横軸が設置傾斜角です。

10° 20° 30° 40°
88.4% 94.0% 98.0% 100.0% 99.7%
南東 45° 88.4% 92.2% 94.5% 95.0% 93.7%
90° 88.4% 87.4% 85.4% 82.6% 78.8%
北東 135° 88.4% 82.4% 75.6% 68.5% 61.5%
180° 88.4% 80.1% 71.0% 61.2% 52.9%
北西 225° 88.4% 82.4% 75.6% 68.5% 61.5%
西 270° 88.4% 87.4% 85.4% 82.6% 78.8%
南西 315° 88.4% 92.2% 94.5% 95.0% 93.7%

角度によっては基準の50%程度の発電量になってしまいます。

この違いは大きいと思いませんか?

これらの違いを考慮するためには今回紹介するシミュレーション方法がおすすめです。

それでは紹介させて頂きます。

発電量とは以下のように考えられています。

『発電量=日射量(kW/m^2/日)×損失係数×システム容量(kW)×365日÷標準状態における日射強度(kW/m^2)』

参考JPEAページ

http://www.jpea.gr.jp/pdf/011.pdf#search=%27nedo+%E6%90%8D%E5%A4%B1%E4%BF%82%E6%95%B0%27

日射量

日射量はNEDOにて調べます。

NEDOとは、「エネルギー・地球環境問題の解決」や「産業技術力の強化」実現に向けた技術開発の推進を通じて、経済産業行政の一翼を担う、国立研究開発法人です。

国内837地点・29年間(1981~2009年)の日射量データベースを用いることにより、方位角別、傾斜角別の月間総日射量が確認できるためとても参考になります。

NEDOページ

https://www.nedo.go.jp/library/nissharyou.html

<使い方>

①まず上記リンクからNEDOの日射に関するデータベースにアクセス

②『日射量データベース閲覧システム』を選択

③『年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)』を選択

④発電場所を選択→『この地点のグラフを表示』を選択

⑤『データ一覧表を表示』を選択

⑥設置予定の方位・傾斜角の1月~12月の月平均斜面日射量をコピー

以上が日射量の調べ方です。

損失係数

結論としては損失係数は80%~85%が実発電に近い気がします。

損失係数とはいろいろな要因から100%の効率は発揮しないのでそれを係数掛けして考慮しようというものです。

NEDOの太陽光発電導入ガイドブックでは損失係数 約73%とされています。

その内訳は

*年平均セルの温度上昇による損失・・・約15%

*パワーコンディショナによる損失・・・約 8%

*配線、受光面の汚れ等の損失・・・・・約 7%

です。

ゆとリーマン85%のシミュレーションと70%のシミュレーションを作ります。

85%のシミュレーションは投資の期待値把握

70%のシミュレーションは最悪条件でも回していけるか

の確認用として使っています。

計算方法

以下が年間発電量(kWh)予測になります。

{(1月平均斜面日射量×31日)

+(2月平均斜面日射量×28日)

+(3月平均斜面日射量×31日)

+(4月平均斜面日射量×30日)

+(5月平均斜面日射量×31日)

+(6月平均斜面日射量×30日)

+(7月平均斜面日射量×31日)

+(8月平均斜面日射量×31日)

+(9月平均斜面日射量×30日)

+(10月平均斜面日射量×31日)

+(11月平均斜面日射量×30日)

+(12月平均斜面日射量×31日)}

×損失係数×システム容量 [kWh]

上記の値に売電単価と消費税を掛けた数値が年間売電金額となります。

ちょっとA.超簡易!年間発電シミュレーションと比べると難度が上がりましたかねー

しかしこの方法は方位と傾斜角考慮が出来るので理論的にはより実際に近くなります。

もうちょっと別の計算方法について提案させてもらいます。

損失係数の内訳を見てみると『年平均セルの温度上昇による損失』というのがあります。

これは気温によって変動することを意味します。

したがって月ごとに損失係数を変化させた方がより高精度になるかもしれません。

具体的には以下のJPEAデータを使います。

参考JPEAページ

http://www.jpea.gr.jp/pdf/guideline_h30.pdf

この数値を式に反映すると以下のようになります。

{(1月平均斜面日射量×31日×1月の損失係数)

+(2月平均斜面日射量×28日×2月の損失係数)

+(3月平均斜面日射量×31日×3月の損失係数)

+(4月平均斜面日射量×30日×4月の損失係数)

+(5月平均斜面日射量×31日×5月の損失係数)

+(6月平均斜面日射量×30日×6月の損失係数)

+(7月平均斜面日射量×31日×7月の損失係数)

+(8月平均斜面日射量×31日×8月の損失係数)

+(9月平均斜面日射量×30日×9月の損失係数)

+(10月平均斜面日射量×31日×10月の損失係数)

+(11月平均斜面日射量×30日×11月の損失係数)

+(12月平均斜面日射量×31日×12月の損失係数)}

×システム容量 [kWh]

Kj:その他の損失係数を考えない100%にしても平均損失係数は80%程度になってしまいます。

実際の発電量と比較するとかなり控えめなシミュレーションのように感じます。

逆にKj(その他の損失係数)を105%などにして補正しても良いくらいかもしれません。

(個人的感想です)

C.詳細設定可能!月別発電シミュレーション

最後に紹介する方法はB.月別発電シミュレーションの方法に比べてピークカットの考慮が可能です。

最近は『過積載』案件が流行っています。

過積載案件だとパワコンの能力以上に発電された電気は売電できません。

今までのシミュレーション方法ではいつどの時間帯にパワコンの能力を超えるのかが分かりませんでした。

そこで今回は時間帯ごとに発電量を把握しパワコン能力を超えるタイミングを考慮する方法を紹介します。

基本的な考え方は

『発電量=日射量(kW/m^2/日)×損失係数×システム容量(kW)×365日÷標準状態における日射強度(kW/m^2)』

と変わりません。

<使い方>

①まず上記リンクからNEDOの日射に関するデータベースにアクセス

②『日射量データベース閲覧システム』を選択

③『年間時別日射量データベース(METPV-11)』を選択

④発電場所を選択→『この地点のグラフを表示』を選択

⑤表示データの選択:『斜面日射量』を選択

日射量データ表示種類:『任意の指定』を選択し、傾斜角・方位角を入力

⑥『一年分のデータをダウンロード』を選択

⑦『csv形式』を選択して『OK』

⑧以下の部分が時間帯別の日射量になります。(単位は10kJ/m^2)

実際にダウンロードされるデータはこちら↓

赤枠部が時間帯別の日射量データです(単位は10kJ/m^2)

⑨計算

今回ダウンロードする日射量の単位は10kJ/m^2です。

1kWh=3.6MJより

全ての値を360(10kJ/m^2÷1000kJ/MJ÷3.6MJ/kWh)で割って単位をkWh/m^2に変換する必要があります。

その値に損失係数とパネル容量(kW)を掛けます。

この値がパワコン容量より大きい場合はピークカットとなりパワコン容量までしか発電できません。

したがってその場合はパワコン容量に変更します。

以下にパワコン容量49.5kWの例を示します。

<ピークカット前>

49.5[kW/h]以上の数字が見受けられます。

これはピークカットにて全て49.5[kW/h]になります。

<ピークカット後>

このように値修正を行い、一日合計・年間合計することでピークカットを考慮したシミュレーションが可能になります。

最後に例として栃木県小山市、南向き(0°)、傾斜角20°、損失係数一律80%の条件で過積載率とピークカットの関係を以下に示します。

過積載率80%くらいからピークカット率がかなり増え始めることが分かります。

ピークカット率は場所、方位、傾斜角によって異なりますが、傾向は一緒です。

計算を簡易化したい場合はBシミュレーション結果に上のグラフのピークカット率を引いた値を掛けることで年間発電量の算出も可能です。

過積載を検討される方はシステム価格とピークカットを考慮した発電量から利回り最大化を狙うのに役立ててください!

結論

おおまかな太陽光投資案件の選別にはA.超簡易!年間発電シミュレーションで十分だと思います。

もうちょっと精度を上げた詳細検討レベルになった際はB.月別発電シミュレーション、C.詳細設定可能!月別発電シミュレーションが良いと思います。

過積載案件はC.詳細設定可能!月別発電シミュレーションがおすすめです。

事業計画を考える際もC.詳細設定可能!月別発電シミュレーションがおすすめです。

是非優良案件が見極められるように役立ててください。

今回の検討条件は影の影響は考慮しておりません。

そもそも発電所に影になるものがないかは確認してください。

不備、間違い等あればご教授願います。